ペーパーバックと日本文学

本日色彩の授業でブックデザインの発表をした。その際に日本の文学作品の文庫の装丁について気づいた点しか自分の発表で触れられなかったので、少しばかり日本文学の英訳の装丁について述べたい。英語の文庫版に相当するペーパーバックは、日本の文庫よりも大きく、カバーのデザインが凝ったものが多いのが特色である。

古典の英訳は絵巻の場面や源氏絵を使った装丁がなされている事が多く、和のイメージが全面に押し出されているデザインになっている。題字も、絵巻の絵を引き立たせるために、ローマン体のあまり飾り気のない文字が使われている。ちなみにサイデンステッカー版源氏物語の方は、この二冊が纏まって源氏絵があしらわれている箱の中に入っており、書店で目を引く装丁になっている。

近代文学はどうかというと、漱石の『こころ』に限っては(ちくま文庫版にくらべて)内容がイメージしやすいものとなっている。つまり、この二人の赤で描かれている人物は先生と私、もしくは先生とKという人物だと読める。読者がはじめて『こころ』に触れる場合は、おそらくこの赤い人物が誰を象徴するかはわからないだろうが、読み終わった際に再三このカバーをみたら具体的な登場人物の名前が頭に浮かぶことだろう。

今後も日英両方の本の装丁に注目しながら趣味の読書に励みたい。

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グラフィックデザイン科の学生として日々考えている事など

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